キュビズム展 美の革命
  西洋美術館 2023.10.3~2024.1.28
  京都市京セラ美術館 2024.3.20~7.7



世界屈指の近現代美術コレクションを誇るパリのポンピドゥーセンターの所蔵品から、キュビスムの歴史を語る上で不可欠な作品が多数来日。そのうち50点以上が日本初出品。
  前半では、ポール・ セザンヌやアンリ・ルソーの絵画、アフリカの彫刻など、キュビスムの多様な源泉を探る「キュビスムの起源」から始まり、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックがそれらを大胆に解釈しながら、 緊密な共同作業によって全く新しい絵画を発明する軌跡を追います。後半では、その後のキュビスムの展開に重要な役割を果たしたフェルナン・レジェ、フアン・グリス、ロベール・ドローネー、ソニア・ドローネーら主要な画家、キュビスムを吸収しながら独自の作風を打ち立てたシャガールら個性的な芸術家の作品も展示。


西洋美術館 (考える人の後姿)


美術館入口の看板


展覧会の看板



展覧会の看板


 1章.キュビズム以前ーその源泉 


ポール・セザンヌ 「ポントワーズの橋と堰」1981


ポール・ゴーギャン 「海辺にたつブルターニュの少女たち」 1989

 2章.プリミティズム 


パブロ・ピカソ 「女性の胸像」1907



アンドレ・ドラン「立てる裸婦」1907


マリー・ローランサン「アポリネールとその友人たち」 1908

 3.キュビズムの誕生ーセザンヌに導かれて

セザンヌ的な単純化された幾何学形を積みかさねたような作品群は、パリの批評家から「すべてをキューブ(立方体)に還元している」と批判され、「キュビスム」の名称につながった。




ジョルジュ・ブラック「レスタックの高架橋」1908

 4章.ブラックとピカソ-ザイルで結ばれた二人 


1907年に知り合ったピカソとブラックは、翌年から毎日のように互いを訪ね合い、人物や静物などによる造形的実験を重ねていった。本章では、ピカソ7点、ブラック9点もの油彩画や版画が並ぶ。対象を複数の視点から分解し、切子面の集積のように構成した「分析的キュビスム」、コラージュなどの技法も取り入れイメージの統合を図った「総合的キュビスム」の代表的な作品をある。「ザイルで結ばれた二人」はブラックの言葉。


パブロ・ピカソ「女性の胸像」1909


パブロ・ピカソ 「肘掛け椅子に座る女性」1910


パブロ・ピカソ「少女の頭部」1913


ジョルジュ・ブラック 「レスタックのリオ・ティントの工場」1910


ジョルジュ・ブラック「ヴァイオリンのある静物」1911


ジョルジュ・ブラック「ギターを持つ女性」1913


ジョルジュ・ブラック「ギターを持つ男性」1914

 5章.フェルナン・レジェとファン・グリス 

ピカソとブラックに続くキュビスムの代表的画家が、ピカソと同年生まれのフェルナン・レジェと同じスペイン出身のフアン・グリス。ともにキュビスムを吸収し、レジェは機械社会を反映した幾何学的作風、グリスは明晰な構図と色彩が特徴の画風を確立していく。


フェルナン・レジェ 「婚礼」1911-1912


フェルナン・レジェ 「形態のコントラスト」1913


フアン・グリス「ギター」1913

 6章.サロンにおけるキュビズム 


アルベール・グリーズ 「収穫物の脱穀」1912

 7章.同時主義とオルフィスト 


ロベール・ドローネ「都市 no.2」1910


ロベール・ドローネ 「パリ市」1910-1912

「パリ市」では、古典的な三美神を思わせる裸婦像にパリの街やエッフェル塔など現代の要素を組み合わせた。プリズムのような色彩や都市の断片に、ドローネーの志向を見るができる。また、ドローネーは、キュビスムの新たな展開として「同時主義」「オルフィスム」と呼ばれる色彩を重視した抽象絵画を追求した、その時期の作品も展示されている。


ソニア・ドローネ「バル・ビュリエ」1913

 8章.デュシャン兄弟とビュートグループ 


マルセル・デュシャン「チェスをする人たち」1911


ブランティシャック・クブカ「色面の構成」1910

 10章.芸術家アトリエ「ラ・リッシュ」 


マルク・シャガール「ロシアのロバとその他のもの」1911


アメデオ・モディリアーニ「女性の頭部」1912

 11章.東欧から来たパリの芸術家たち 


レオポルド・シュルヴァージュ「カップのある静物」1913


レオポルド・シュルヴァージュ「エッティンゲン男爵夫人」1917


セルジュ・フェラ「静物」1914


セルジュ・フェラ 「静物:グラス、パイプ、ボトル」1914

 12章.立体未来主義 


ナターリア・ゴンチャローワ「帽子の夫人」1913



ジャン・プーニー「椅子、パレット、ヴァイオリン」1917

 13章.キュビズムと第一次世界大戦 

本章ではピカソは写実的な「新古典主義の時代」へ移行していく。戦時下の作品やピカソが手がけた舞台芸術の資料を紹介している。


パブロ・ピカソ「若い女性の肖像」1914


マリア・ブランシャール「輪を持つ子供」1917

 14章.キュビズム以降 

第一次大戦後、アメデ・オザンファンとル・コルビュジエが提唱した芸術運動「ピュリスム(純粋主義)」に焦点を当てる。


パブロ・ピカソ「輪を持つ少女」1919


ル・コルビジェ「静物」1922